本場結城紬 制作 機巻き
2008年05月09日
おさに通した糸を、柄を合わせながら一定の張力をかけつつ、「男巻き(おまき)」に巻いていきます。この作業を「はた巻き」と言います。
経糸の端をこのような道具で張力をかけます。
この写真のように、機巻きは一方の人が櫛で絣をほぐしながら作業すると効率が良いです。
絣の糊付けに失敗したとか、非常に糸の細いもの(160以上)の場合は2人で作業することもあります。
このように巻きながら、絣のずれをなくすために機草(はたくさ)をはさんでいきます。
ここではさんでいるのが機草です。
この時も曲がらないように細心の注意を払いながら巻きます。
巻いている時に糸が切れることがありますが、ここまでの工程で糸の1本1本は図案の通りに筬に収まっているので、その通りに糸道(いとみち)を通してつながなくてはなりません。
切れた糸は、筬の目に通っていた通りにつなぐ必要があります。
このように巻いたものをいざり機にかけ、横糸を入れながら織っていくわけです。
2008年05月09日
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本場結城紬 制作 経絣、反分け(2)
2008年05月05日
前回、経絣を枠から外したところまで説明しました。
この状態では、数反分の絣がくっついていますので、それを1反ずつに分けていきます。
これが「反分け」という作業です。
経絣を吊って、糸の絡まりを取ったら、絣の柄ごとに筬におさめます。
筬の目に経絣を納めていきます。
例えば、4反分の絣を作った場合は上糸と下糸を合わせて8本の同じ柄の絣糸がひとつの目に入ります。
絣糸は上糸と下糸に分け、写真のように、間に棒を挟みます。
絣糸の端は「あや」といって、糸の順番が入れ替わらないように、糸を交差させてあります。
4反分の絣の場合は同じ柄の絣が4対(上下)連続して並んでいるので、これを4本の指に別々に引っかけていきます。
全ての糸が分け終わると、4本の指には図案通りに並んだ絣が1反分ずつ引っ掛かっています。
1反ずつに絣が分かれたら、もう一度、糸を吊って、1反ずつ筬に納めます。
これで「反分け」作業は完了。1反ずつに分かれた経絣が出来上がりました。
2008年05月05日
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本場結城紬 制作 経絣、反分け
2008年04月30日
経絣は通常、4~6反分まとめて制作します。
先に紹介した「枠巻き付け」時に、制作する反数分の絣糸が枠に巻き付けられています。
枠に巻き付けられ、絣しばり、染色、絣ほどきが済んだ絣糸を枠からはがします。
絣は通常は4~6反分まとめて枠に巻き付けられています。
こんな感じで枠から絣糸をはがしていきます。
枠の両側の軸は回るようになっていて、糸を引っ張ると「ぱりぱりぱり」って感じで糸がはがれてきます。
結構気持ちがいい音がします。しばり終わった職人さんからすれば、やっと終わったぜ~って感じでしょう(^^;;
枠からはがした経絣です。
結城紬は、1回の絣制作で4反~6反分の絣を作ることが多いので、この絣を1反分ずつに分けなくてはなりません。
次回、この反分けについて説明します。
2008年04月30日
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本場結城紬 制作 緯絣の小割り
2008年04月19日
緯絣は(1反あたりの柄数×制作する反数)本の絣糸がひとまとまりになって括られています。
これを小割りし、織りで使用する杼の中に収まる管に巻き取るまでの作業です。
絣ほどきが終わった緯絣は軽く糊付けを行い、反物の幅を図案に合わせながら糸を吊って乾かします(この糊付けを吊り糊と言います)。
糸が乾いたら小割りします。
製経した時に18本単位で製経しているので、まずはこの18本単位で割って、その後上糸と下糸を割っておきます。
小割りした緯絣は外注に出す事が多く、近所で昔、機に関わっていた、糸使いに慣れているおばぁちゃんに頼んだりします。
ここで杼に納める管に一本毎に巻いて、機織りで使います。
この管に巻かれた糸が絣糸です。
2008年04月19日
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本場結城紬 制作 染色(絣)
2008年04月17日
絣しばりが終わったら、絣糸は再び紺屋(染色)に運ばれます。
絣糸の染め(本染め)を行うためです。
結城紬の多彩な細工絣には「たたき染め」という独特の染色方法が用いられます。
紺屋は、はた屋の注文に応じて調合した染料に、棒に先に吊した絣糸を浸し、それを空中から振り下ろして足下の石版にたたき付けます。
ちょっと写真が見にくいですね(^^;;;
絣糸は石版にたたき付けられます。
こんな感じで、何度も何度も、ぴったん、ぴったん・・・
たたく回数は、その絣をしばった人の強さによって調節します。
たたきが少ないと、しばった綿糸の際まで染料が染みず、逆にたたき過ぎると綿糸の中にまで染料が染みてしまいます。強さは人によってまちまちですが、平均すると200~300回くらいたたくそうです。
絣の模様をきれいに出すためには、紺屋さんの熟練した技術が必要とされるわけです。
逆にいうと、絣の作り手は常に同じ強さで絣をしばらないと、紺屋さんがこれだけ気を遣って染色しても、ある場所の絣は染料が染みてしまって、また一方の場所では染料がしばりの間に全然染みていない、なんて事にもなってしまうわけです。
絣のしばり手、染色のお互いの技術が相まって素晴らしい絣ができあがるわけですね。
2008年04月17日
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本場結城紬 制作 筬通し
2008年01月22日
結城紬マニアックスです。
今回も本場結城紬の制作工程、いってみよう!
前回は間差し込みが終わったところでしたね。
経糸が正しい順番に並んだら「筬通し(おさとおし)」という作業を行います。
これは、櫛状になった目が680目ある「筬(おさ)」という道具の目に糸を1本1本通していく作業です。
これは「筬(おさ)」といいます。
櫛状になった目が680目あります。
この筬はステンレスでできたものと竹でできたものがあります。いまは道具を作れる人が減ってしまったので、竹の筬は数が少なくなってしまいました。
ちょっと写真が見づらいですけど、筬の目が見えますか???
竹の筬は竹がしなることで多少の糸の節は切れることなく筬の目を通るので、適度に節の残った素朴な風合いが残るので良いと言われています。
経糸は上糸と下糸で対になっていて、これを「やはず」という道具で1対ずつ目に入れていきます。
これが「やはず」です。
こんな感じに「やはず」は筬の目に入るわけです。
実際の作業風景です。
「やはず」のくぼみに経糸の一対を引っかけて、筬の目に通します。
ちなみに、この筬は竹の筬です。
このようにして、一反分の経糸を筬に通していくわけです。
こうしてみると、本場結城紬の工程って、地道な作業が多いですよね。
2008年01月22日
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本場結城紬 制作 絣緯糸の小割り
2008年01月15日
いらっしゃいまし、結城紬マニアックスです。
今日は結城紬の話題から、絣(緯糸)の小割り風景です。
説明はこちらでちょっとだけしましたね。
トップページ> 本場結城紬 制作
>緯絣の小割り
前回は資料が足りなくて、よくわからなかったかな~ということで、今回は何枚か写真を取ってきました。
これが、絣を作ったり、機巻きをしたりする作業場。
1疋(2反分)分の長さの糸を吊って作業をするために、こ~んなに長い作業場が必要になります。
緯絣は、柄数分の本数がまとめて束になっています。
1本の絣糸で一柄を作ると思っていただいて、大体間違いはありません。
絣糸は18本ずつに割れるように糸で編んであります。
それをまず大分けしたら、その18本を3本ずつに小割りします。
写真の細い1本に見える糸。
これが3本ずつ(上糸と下糸、両方併せて6本)の小割りした糸の束です。
この3本の組(計6本)を、写真のように、丸枠に巻き取っていきます。
すべての絣糸を巻き取ったら、更に1本ずつにするため、場所を変えて綛揚げをします。
トップページ> 本場結城紬 制作
>綛揚げ(2)
上記2枚の写真は括りのよる濃い地の絣糸。
下の綛揚げの写真は、すり込みで作成した薄地の絣糸です。
ここで、3本ずつの上下糸でたぐられた糸が1本ずつに綛揚げされました。
この1本ずつの糸を管に巻き取り、織りに使います。
こんな感じですね。
2008年01月15日
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本場結城紬 制作 間差し込み
2008年01月12日
本場結城紬の製作工程もいよいよ終盤ですね。
ここまで、地糸と経絣は別々に制作してきましたが、この工程で地糸の間に経絣を挟む「間差し込み」(まざしこみ)という作業を行います。
まず、最初は絣糸の準備。
通常、絣糸は上糸と下糸両方に柄ができあがっています。
実際には上糸にしか絣は入れないので、下糸を無地の糸とつなぎ替えます。
この場合も「あや」を壊すことのないよう慎重に・・・
こうして、絣糸の準備ができたら「間差し込み」です。
片方の人が地糸と絣糸を持ち、順番に並ぶように糸をとって、もう一方の人に渡していきます。
この工程、普段見慣れない人が見ると、高速であやとりをしているような・・・
何がどうなってるのかわからない動きをします。
いや~、職人ですなぁ
例えば、百亀甲の反物であれば、絣1本に対して地糸が2本あるように差し込んでいきます。
ここでやっと経絣と地糸(絣のない経糸)が合わさり、織る前の段階になってきました。
2008年01月12日
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本場結城紬 制作 本糊付け
2008年01月08日
絣もついに完成しました。
ここからはいよいよはた織りのための準備。
ここでは、最終的な糊付けをします。この糊付けを「本糊付け」と言います。
下糊と同様に、糊付けの濃度は正確を期するため、糸の重さを量ります。
地糸の糊付けをしているところです。
こちらは経絣の糊付けです。
紬糸は前にも書きましたが無撚りのため切れやすく、こうして糊を付けることで強度を高め、かつ毛羽立ちを押さえて織りやすくします。
糊付けは加減が難しい作業で、糸の太さ、性質、色目、温度、湿度の違いで糊の効き具合が微妙に変わってきます。
糊の分量は機屋さんによって違い、皆、独自のノウハウを持っています。
糊付けは30分程浸して糊が十分に染み込んだら脱水します。
下糊付けでは糊の分量も少ないので脱水機で脱水することもありますが、本糊付けの場合は糊の分量も多く、十分な脱水を行う必要があるため、写真のような絞り機を使います。
これが絞り機で糸を絞っているところです。
この時、糸はきつくねじって絞られますので、糸を丸くたぐっておく時に長さが均等になるようにたぐらなくてはなりません。
糸のたぐりが均等でないと絞った時に糸がたくさん切れてしまいます。
絞りあがった糸はこのようにタオルに包んでほぐれやすいようにもみます。
絞った糸を揉んでいるところです。
さらにその後に糸を台にたたきつけるようにして、よくたたきます。
最後に、ほぐしやすいようによくたたいた糸を、つって乾かすわけですが、糊が乾く前に手早く糸を分けておきます。
糸がくっついたままで乾かれると後の作業ができなくなってしまいますので、この作業は手早く行わなくてはなりません。
昔は屋外で仕事をしていたため、こういった乾く前に終わらせるといった工程は本当に大変だったと言います。
2008年01月08日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 柄合わせ
2008年01月03日
絣を反分けして1反分ずつに分けたら、その絣の柄を設計図案通りに合わせていきます。
この作業を「柄あわせ」と言います。
絣にはあらかじめ「基準墨」というあわせやすくするための印を入れておき、この基準墨を揃えることで経方向の柄が揃います。
この基準墨は柄を合わせた後に水洗いして消します。
まずは、20~30本毎に柄を合わせます。
柄を合わせたら綿糸でしばって固定します。
いくつかの束ができたら最後に全てを合わせて糸でくくります。
1反あたり12~13カ所、同様に止めていきます。
この柄合わせという作業は熟練者がやると何でもないように柄を合わせていけるんですが、自分でやるとなると非常に難しく、基準がまっすぐにならなかったり、途中まで押さえていた糸が、次の糸を加えようとした時のずれてしまったりと、職人さんに言わせると最も難しい工程だと言います。
2008年01月03日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 墨付け
2007年10月30日
結城紬の制作工程、概要はこちらを参照下さい
絣を作るための糸が準備できたら「墨付け」作業を行います。
結城紬は、柄の細かさに応じた方眼用紙があり、その方眼用紙に図案を描きます
製経して束ねた糸に竹べらでひとホシずつ、設計図案通りに柄を写し取っていきます
色分けが必要な場合は、自分で分かるように糸に色の印も付けていきます
これは緯絣の墨付けです
経絣の場合は、枠に巻き付けた状態で墨付けを行います
この後の工程で何度かお湯や水にくぐらせるので、墨が落ちてしまわないように、良質の墨を使う必要もあります
2007年10月30日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 経絣の制作
2007年10月22日
結城紬の制作工程、概要はこちらを参照下さい
今回は、いよいよ経(たて)絣を制作します
経絣を制作するために「枠巻き付け」作業を行います。
絣しばりの説明で「枠」(わく)っていう言葉が出ましたね
これが「枠」です
経(たて)の絣用に製経(せいけい)した絣糸を枠に巻き付けます。
枠の外周は1周で2柄になるように調整できるような作りになっています
この枠に製経した絣糸を巻き付けます
枠に巻き付ける絣糸は、のべあがった後に、糸をピンを張るためにごく軽い濃度で糊付けをし(これをつり糊といいます)、糸を吊った状態で乾燥させておきます
絣糸をこのように巻き付けていきます
これが絣糸を枠に巻き付けた状態です
枠に巻き付けた束に綿糸をしばる事で絣の柄を作っていきます
つまり、経絣の場合は、この枠に向き合って絣しばりをするわけです
絣しばりで柄をしばって染色した後、この巻き付けた絣糸を外すと経の絣が出来上がるわけです
2007年10月22日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 製経
2007年10月06日
ここでは製経(せいけい)、または機のべという作業を行います
製経とは、糸の長さを一定にし、かつ必要な本数分、糸をのべる工程です
この作業は、経絣、緯絣、地糸、それぞれに必要な作業で、どれだけの長さが必要で何本必要かを図案から算出しておきます
たとえば地糸であれば、1反12m30cmなので余裕をみて14mのべておくといった感じです
糸を巻いた管を「のべ台」に上にセットします。
この台を「のべ台」といいます。
例えば、のべ台の長さを9尺に合わせて、8渡り(4往復)分、糸をのべると32尺の糸をのべる事ができます
のべ台の上の管から20本ずつ、糸が引き出されていきます
例えば、480本の糸が必要な場合、20個の管で製経を行うとすれば、24回のべればいい、といった感じです
(実際には上糸と下糸の計算もするので、もうちょっと複雑な見積もりが必要ですが、大体の理屈はこんなものだと思って下さい)
この作業は、のべ出しからのべ終いまでなるべく同じ張力でのべないと、糸にのべ曲がりが出来てしまう、非常に熟練を要する仕事です
糸のべの折り返し時にこのように糸を絡め取る事を「あやとり」といい、糸の順番が入れ替わらないようにします
作った「あや」は、のべ台の折り返しの棒の掛け、のべあがったら綿糸で輪を作り、あやが壊れないようにします
ここで作った「あや」は、今後の作業で非常に大事になります
この「あや」があるおかげで絣の順番も狂うことなく作業できるわけです
2007年10月06日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 染色
2007年10月04日
「糸煮込み」により不純物が取り除けたら1回目の染色をします
絣しばりで触れましたが、ここで染めた色が絣の色目になるわけです
染色店の事を結城では紺屋(こうや)と呼びます
紺屋は機屋(はたや)の注文に応じて化学染料を調合し、1色目の色(絣の目色)を染めます
染料を入れた熱湯は、糸の染めムラをなくすために一度冷まし、その後、糸を絶えず動かしながら煮立てていきます。
糸が染まってきました。
最後に糸を水洗して余分な染料や、染料と一緒に入れた助剤を洗い流します
こうして染め上がった糸は、紺屋からはた屋に運ばれます
染色には、他に絣を染める際の独特の染め方があるんですが、それまはた次回
2007年10月04日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 糸煮込み
2007年10月02日
綛揚げされた糸に対し、「糸煮込み」作業を行います
綛にした糸には、まだ不純物が付いています
これらを取り除き、更に繊維を密着させて、以後の作業をやりやすくするために、10分程度の糸の煮込みを行います
このように、たっぷりの湯で糸を煮込みます
あまり沸騰させると糸が荒れるので注意が必要です
糸の煮込みが十分でないと、糸の中心に糊が全く染みず、その結果、何回糊付けしても全く糊が効かないという事になってしまいます
2007年10月02日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 綛揚げ(2)
2007年09月30日
前回糸とりをした糸が管に1つ1つ巻いたところまで紹介しました
今度は、糸の長さが一定な束に一定にするため、管に巻き取った糸を綛揚げ機を使って「綛」にします
綛揚げ機には、回転数を数えるカウンタが付いていて、これを900回転させたものを1(すが)といいます
綛(かせ)というのは決められた枠に、糸を左右に振りながら、巻き付けた状態を言い、糸をこういう状態にすることで、後々の作業をし易くします
また、糸の長さが算出できるので、この長さと重さから、繊維の太さを割り出せます
単位はデニールです
女性の方は、ストッキングなどで良く目にする単位ですよね
これが「綛揚げ機」です
綛揚げ機の上部は一定の周期で左右に振られます
こうすることで下に巻かれる糸には糸みちが作られ、仮に後の作業で糸が切れても、切れた糸の端(糸口と言います)を容易に見つけられるようになるわけです
さて、これで糸が均一な長さの束になり、重さからデニールの計算もできるようになりました
この太さから糸を、「経絣」用、「緯絣」用、「地立」(無地の経糸)用等に選り分けて使用するわけです
2007年09月30日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 綛揚げ
2007年09月29日
「糸とり」で説明した糸を、その後の作業ができるように、糸の束の状態にします
この作業が「綛揚げ」(かせあげ)です
今回は、前回「ボッチ」状態にした糸を管に巻き取るまでの工程を紹介します
まず、オボケに入った糸を管に巻き取ります
このボッチから管に巻き取る作業を「ボッチあげ」といいます。
糸車の写真がないのでわかりにくいですが、今は手動ミシンのモーターを使ったものと使っています
昔は手回し式の糸車を使っていました
糸車の先には木製の管が取り付けられていて、オボケから出た糸を均等に管に巻いていくわけです
オボケから巻き取る糸はもつれないように、そら豆を重りとして使います
おはじきを使ったりもします
糸がもつれて取れない場合は切って繋ぐ事になります
この時は「はた結び」という結び方で糸を結びます
これがはた結びです。
よく見えないですね(^^;;;;
機会があったらこの結び方も図解で紹介します。
というわけで、これが結んだところです。
糸を管に巻き取ったところで今回はおしまいです
次回、この管を「綛」(かせ)にあげていきます
2007年09月29日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 下糊付け(3)
2007年09月26日
前回、糊付けした糸を絞っていきます
このようなしぼり機で余分な糊をしぼります
この場合も糊がムラにならないよう注意します
さらに、余分な糊をタオルで吸い取ります
糊がよくしぼれたら糸がほぐれやすいように、よくはたきます
糊付けが終わった糸はよく乾燥させた後、20個程度の管に巻きます
これはつぎの製経の工程の準備です
こんな感じで管に糸を巻いていきます
この場合も糸を左右に振りながら巻いていく必要があります
こうすることで、例え糸が切れても糸口が見つけやすくなるのです。
紬糸は無撚の糸で非常に切れやすいため、補強のため糊を付けるわけですが、糊を付けても、「濃度」「湿度」「糸の色目」「脱水」「糊付け後の糸のはたき」等の要因で切れやすくなったりします
この写真のように、糸を切らずに高速で管に巻くためには、その前工程である糊付けに細心の注意が必要なんですね
2007年09月26日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 下糊付け(2)
2007年09月25日
今回は実際に糊付けとしているところをご覧いただきましょう
これが染め上がった糸です
正確な濃度で糊付けをするために、まずは糸の重さを量ります
おおよその濃度は決めていますが、実際に織りを行う季節の湿度や、染めた色目など、様々な要因を加味して最終的な濃度を決めます
糊がムラに付かないように気を付けながら糊を付けていきます
糊が糸に良く染みるように糊付けします
糊は甘いと弱くて切れやすく、逆に効きすぎると糸がくっついてしまって管に巻くときに糸の1本1本が離れず切れてしまい、どちらにしても後の作業の能率が悪くなります
全体に糊は良く染みるまで数十分、糊に付けたまま放置します
次回、この糊を絞って管に巻きます
2007年09月25日
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本場結城紬 制作 下糊付け
2007年09月24日
経糸は、織機にかけるために、ある程度の強度が求められます
結城紬の手つむぎ糸は、他産地の正絹糸と違って全く撚りが入っていません
そのため、とても弱くて切れやすく、また非常に毛羽立つために、このままでは織ることができません
そこで、染色が済んだ糸に薄糊を染み込ませて糸を補強するわけです
この糊付け作業を下糊付けといいます
糊は小麦粉で作ります
強力粉、中力粉等、種類は様々ですが、どんな粉を使うかは機屋さんによってまちまちで、それぞれの機屋さんが独自のノウハウを持っています
糊の濃度は糸の重さ、湿度、糸の色目、脱水の方法等、様々な要因で調節しなくてはなりません
この糊付けの加減はとても難しく、何十年も機屋をやっている熟練の職人でさえ、「糊付けは一生習いだから」と言うほど大変神経を使う仕事です
結城紬は反物の状態では非常に強く糊が効いていて、仕立ての前には産地の専門の業者(整理屋と言います)に糊抜きを頼むのが一般的ですが、これは結城紬がこのような特赦な糊付けをしているためなんですね
では、次回、実際に糊付けとしている作業を見てみましょう
2007年09月24日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 機織り(5)
2007年09月22日
機織り5回目、とりあえず最終回です
前回は基本動作を覚えました
おさが上からぶら下がっていて、布目にきっちり並行に打てる高機と違って、地機は杼で打ちます
この杼打ちも左右同じ力で打たないと織りが曲がってしまったり、片方の織り目に隙間(ひあい)が出来てしまうので注意が必要です
ひあいができれば、検査も不合格となり、商品価値がぐ~んと下がってしまいます
織っている間は、糸が切れていないか等、常に織り目に神経を集中して織っていきます
結城紬は経絣と緯絣を組み合わせて柄を作ります
巻き付けた縦の柄は当然、いくらかはズレてきますので、経糸の吊り具合を微調整し縦方法の絣を合わせておきます
そこに緯絣を入れ、これまたきっちり柄を合わせてから杼を打ちます
この柄の合いが悪い場合も検査不合格の対象となりますので、慎重に織らなければなりません
織り上げるためには、百総柄で約1ヶ月~2ヶ月、超高級品になると織りだけでも一年近くかかるものもあるんですよ
以上、5回に渡って、織りの紹介をしましたがいかがでしたでしょうか
これらの工程を見ると、本当に大変な手間のかかった反物であることが分かっていただけるかと思います
2007年09月22日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 機織り(4)
2007年09月21日
ども、機織り4回目です
前回、杼の準備もできましたので、織ってみましょうか
まずは緯糸を入れて、杼でどん、どん、
杼を反対側に抜いて、次におさつかでとん、とん、
他産地の高機は、杼が小さく、おさが織機の上から吊り下げられているものが多いです
そして、杼で緯糸を通した後に、おさで打つという織り方ですが、結城紬の場合は杼で打つといった感じですね
足に引っかけた紐を引くことで下糸が吊られて開口動作、本場結城紬は下糸だけに掛け糸が付いている片口開口で独特の地風が生まれます
で、開口した状態で反対側から同様に緯糸を入れて打ち込みます
その後、足を戻して下糸を下ろします
あとはこの動作の繰り返しです
次回、機織り最終回!
2007年09月21日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 機織り(3)
2007年09月20日
いらっしゃ~い、機織り3回目ですよ
前回の説明で織り始めるまでの準備ができました
が、杼の説明がまだでしたね・・・
なかなか、織りの説明までたどり着けませんが・・・どんどんいきましょう
これが本場結城紬の地機で使用する杼です
すごく大きいでしょ?
他産地の織物を知っている人ほどびっくりすると思います
材料も樫で出来ていて、重さも600グラム強
とっても重いんですよ
これを一日中、女性が片手で左右に振り続けるわけですから、非常に重労働なんですよね
この杼の中には緯絣が入っています。
こちらは無地の糸(生糸:なまいとと言います)が入っています。
この無地の糸を必要分だけ緯絣の間に挟んで織っていくわけです。
ちなみに、絣のないところ(無地)を織る場合は、横方向の色むら(横段といいます)を防ぐために2丁の杼を交互に使って織ります
続きは次回!
2007年09月20日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 機織り(2)
2007年09月19日
では、機織りの2回目をお送りします
まだ、1回目では織機に座ってすらいないんですよね(笑)
まずは織機に座りましょう
織っている反物の地の色と同色の布を膝に掛けます
この布は絣を見やすくする効果があります
反物を織り手の腰で吊るための腰当てを付けます
これこそが、「全身で織る織機」と呼ばれる由縁です
織り手の腰の吊り方次第で、反物の地風ががらっと変わってしまうのです
高機の場合は、織りあがった生地を巻き取っていく仕組みがありますが、地機はというと自分のおなかの前の棒に巻き付けて、織りあがるまでずっと身につけています
反物を腰で吊ったら、反物の端(耳と言います)にこんな風に伸子を張ります。
伸子で反物の端が裂けてしまうことがあるので、補強のために布も一緒に伸子に引っかけておきます。
はい、これでやっと織り始める準備ができました
次回はいよいよ織り始めますよ~
2007年09月19日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 機織り
2007年09月18日
いよいよ、本場結城紬の制作の最後の工程、「機織り」の紹介
ちなみに「機織り」(はたおり)って読めましたか?
先日、ネプリーグの漢字を読んでいくクイズで「機織り」が出ました
皆さん、読めなかったみたいですね・・・
やはり、機織りがメインの工程になると思いますので5回構成でお送りします
まずは、この写真をどうぞ
本場結城紬で使われる織機は千五百年も前から使われてきた地機という最も原始的な機織り機です
地機(じばた)、または居座り機(いざりばた)と呼ばれます
居座り機の呼び名はその名の通り、居座るように織機に座った事からきているようですが、差別用語にもつながるとのことであまり使われません
この地機という織機
まず、習い始めの頃は織り始めるまでが難しい・・・
高機のように、ただ織機に腰掛けて、さぁ織りはじめるぞぉ・・・とはいかないのです
地機はまさに「全身で織る織機!」なんですよ
では、次回は地機に座る!ところから始めましょうか (^^;
2007年09月18日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 絣しばり、その後
2007年09月17日
前回、しばりあげた絣を染色します
この染色方法がまた独特なんですが、これはまた後日
染色をすると、このしばった箇所には染料が染みないため、糸をほどくと、しばった箇所とそれ以外の箇所で色の差が出ます
絣の色目が何色かある場合は、しばる→脱色→次の色に染色→しばる、を繰り返し、最後に地の色に染め上げます
染色後の絣の糸をほどいたところです
しばっていた場所の目色がしっかり残っていますね
絣には、亀甲の数が80並ぶものから、100、160、200まで、大体4つのクラスの細かさがあります
当然、数が多いほど仕事も細かくなり、制作にかかる工数も非常に大きくなります
緯絣の一幅あたり(反物の横幅分の絣)に対して、最も簡単な80の亀甲でも160箇所、200になると400箇所もしばる箇所があり、一般的な100亀甲の絣で1反あたり約10万箇所もしばる事になります
考えただけでも気が遠くなってきませんか(笑)?
ちなみに、「200亀甲総柄」は、絣だけで10ヶ月の制作期間を要したそうです
そりゃ、高いわけだ・・・そう思いません?
2007年09月17日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 絣しばり(2)
2007年09月16日
実際にしばるわけですが、絣しばりは手のみでしばる方法と、手と口でしばる方法があります
ちなみに、前回紹介した写真は手と口しばり
手と口しばりの場合は、一方の糸は歯でかんで固定し、もう一方の糸を右手で持ち、左手は絣糸を押さえ、この3点でタイミングよく締めます
手のみでしばる場合は、絣糸を抱えるように持ち、手の力だけで締めていきます
しばる際に力が要求されるため、絣しばりは男性の仕事とされていますが、別に女性がやってできないというものではないと思います
この絣しばりは、ここ結城市で年に一度開催される「本場結城紬作品展」で実演があって見学できます
今年の開催は11月
興味のある方、ぜひいらしてくださいな
すべてしばりあげたら、いよいよ染色です
次回は染色後の絣がどうなったか、です
2007年09月16日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 絣しばり
2007年09月15日
まずは、結城紬の重要無形文化財3要件の1つ「絣しばり(絣括り)」をご紹介!
本当は、ここにくるまでにも色々な工程があるんですが、その辺は後日
代表的な工程から行きましょう!
「絣しばり」は図案通りに墨付けをした箇所を綿糸でしばっていく作業です
「絣しばり」は、「絣くくり(括り)」「絣くびり」「糸くくり」等とも呼ばれます
これが絣しばりを行っているところです
むむ、わかりにくい・・・(^^;
絣には経絣(たてがすり)と緯絣(よこがすり)があります
経絣は通常は枠に糸を巻き付けて絣をしばります
緯絣は枠は使用しません
「枠」なんて言われても、なんだか分かりませんよね
後で、写真を撮ってきて紹介します
後編に続く・・・
2007年09月15日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 本場結城紬の制作工程
2007年09月14日
本場結城紬の制作工程ですが、たくさんありすぎて一言では言えません
はい、おしまい
・
・
・
いや、ごめんなさい
あ、ものを投げないで・・・
この工程がすごいんですよ
そんなわけで、工程についてはこちらの図をご参照下さい
(新しいウインドウが開きます)
赤くマーキングしてある工程が、重要無形文化財の指定を受けるために必要な工程です
次回からは、個々の工程について解説します
2007年09月14日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 糸つむぎ(2)
2007年09月04日
真綿袋から糸とつむいでいきます
ここからの作業が「本場結城紬」における重要無形文化財の技術指定3大要素の一つ、「糸つむぎ」の工程です
「糸つむぎ」、または「糸とり」と呼ばれるこの作業は、「つくし」と呼ばれる道具に、よく引き伸ばした真綿を掛けて、唾をつけながら糸をつむいでいきます
この道具が「つくし」です
真綿袋をよく引き伸ばして、このつくしに掛けます
糸をつむいでいるところです
熟練者がやるとリズミカルに「きゅっきゅっ」と音がします
一見すると糸を撚っているようにも見えるんですが、途中を捻っているだけで、糸には撚りは入っていません
唾の粘着力と糸を紡ぐ力加減で糸が作られていきます
この桶は「オボケ」といいます。
とった糸はこのオボケにためられていきます。
このオボケ1秤分(94g)を紡いだ糸を「1ボッチ」と呼びます。
1ボッチは約80g程度になります。
1反の紬を制作するためには7ボッチ必要で、これだけ紡ぐためには、熟練した技術者でも60日くらいの日数を要します。
熟練した技術者に話を聞くと、
糸の太さを、要求された太さに均等に紡ぐ
かつけ(糸を引いた時に剥がれた糸)をきちんを取り除く
糸の節(真綿の中にある糸玉)をきちんと取り除く
といった点に特に注意を払って作業しているそうです。
2007年09月04日
カテゴリー:本場結城紬 制作
本場結城紬 制作 糸つむぎ
2007年09月03日
結城紬の制作は真綿(まわた)がけという作業から始まります
紬糸の原料は蚕の繭(くず繭)です
蚕の口から出された繊維の構造は「フィブロイン」という蛋白繊維が2本と、これを包む「セリシン」という蛋白質で構成されています
セリシンは水溶性なので、これを取り除くために、繭を重曹で煮るわけです
この作業を煮繭(しゃけん)って言います
重曹で煮た繭を写真のように袋状に拡げます
拡げた繭は5~6粒重ねて更に大きな袋にして、一定の形に整えてから脱水します
これを真綿袋、この工程を真綿がけといいます
袋状になった真綿に「なめし加工」を施します
なめし加工というのは、胡麻油の入った水に真綿を浸し、繊維を丈夫にする作業です
次の作業では、実際に糸をつむいでいきます
2007年09月03日
カテゴリー:本場結城紬 制作